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何が起きても [diva]

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ザーズはフランスのシンガーソングライターで、ポップスからジャズ、ブルース、ラテンなどその魅力的なハスキヴォイスでなんでも器用にこなしてしまう。

1980年生まれといいますから今年41歳。
音楽学校で基礎をみっちり学んだもののすぐデビューとはいかず、いくつかのバンドのヴォーカルなどをこなしていましたが、CDデビューは2010年、30歳のときで、どちらかというとスロースターター。
そのデビューアルバム『モンマルトルからのラブレター』のなかのファーストシングルが
「私が欲しいもの」Je veux。

https://youtu.be/hQVXSvEw8_0

「リッツのスイートルーム?、シャネルの宝石?、リムジン?そんなものいらないわ。エッフェル塔だっていらない。私がほしいのは愛と喜びと、気の利いたユーモア。お金じゃないのよ」
とフランスらしい本当に人間として自立した女性の品格をうたっております。

2014年には「Paris」私のパリ という古いシャンソンのカヴァーアルバムをだしています。彼女にとって3枚目のアルバムとなります。その中から一曲。

https://youtu.be/VY_xSs7ozxc

「パリの空の下」Sous le ciel de parisはピアフをはじめ多くのシンガーによって歌われたシャンソンで、日本でも「枯葉」と同様にシャンソンの代名詞となっている歌。
恋人たち、子ども、哲学者、ミュージシャン、野次馬、犯罪者、浮浪者などなど、花の都・パリで暮らすさまざまな人たち。そのすべてを受け入れてくれるのがパリ。
日本では昭和30年に芦野宏がレコーディングしています。岸洋子盤もいいなぁ。

そんなシャンソン・クラシックスをもうひとつ。
「私のパリ」には入っていませんが、戦後のヒット曲で昭和30年代の日本でのシャンソンブームでも支持された一曲「絶対従順主義」Je Me Suis Fait Tout Petitを。

https://youtu.be/c2BVCH8tlVY

戦後のシャンソンブームのなかで、イヴ・モンタンなどとともに日本でも人気のあったジョルジュ・ブロッサムのヒット曲。直訳すると「自分を小さくする」ですが邦題は「絶対従順主義」なんて固いタイトルがつけられています。
いつも強気で生きてきた男が愛する彼女の前で、何も言えず従順になってしまう自分への自虐をうたっています。アナーキーな詩人でもあるブラッサムなので、一見ラヴソングの裏に権力の前に無力な人間を揶揄しているようにも聞こえてしまいます。
動画はやはりフランスの人気シンガーソングライターであり女優のジャンヌ・シェラルとととても楽しげにうたっています。


「私のパリ」から3年後の2018年にリリースされたアルバム「ミラー効果」Effet miroirは彼女が数年かけて実行した世界ツアーの集大成といわれるアルバム。2015年には東京と大阪でもコンサートを行っています。それで日本でもファンが多いのかも。

そのアルバムのファースト・シングルとなる「ケ・ベンドラ」Que vendra(何が起きても)を。

https://youtu.be/kCe60ivhM5U

フランス語とスペイン語のミックス?でうたわれているようで、
「人生は何が起こるのかわからない。喜びや悲しみのなかで自分を信じて生きて行くしかない。たとえ自分を見失ったとしてもそのことを分かっていれば、おのずと自分がすすむべき道を歩むことができるはず」
と、人生を前向きに生きて行く姿勢がうたわれています。
それは彼女がデビューしてから世界ツアーを含めて8年間の経験から体得した人生の歩み方なのでしょう。
まぎれもなくラテンの香りなのですが、ジャズが沁みていてさらにはレゲエの臭いもする不思議で心地よい旋律とリズムに酔ってしまう歌です。

おまけの一曲はストレートにラテンを。それも日本でもラテン名曲ベスト5に入るばかりでなく、世界的にもラテンクラシックとして認知されている曲を。

https://youtu.be/0GMcL2nkp4E

「ある恋の物語」Historia de un amor はさほど古い歌ではない。1955年(十分古いか)、パナマのカルロス・アルマランによって作られました。(異説もありますが)
恋人を亡くした男の嘆きをうたったもので、
「彼女はわたしのすべてだった、生き甲斐だった。なのに神はなぜこんなにひどい試練を与えるのか……」

この歌に火をつけ世界的名曲にしたのがメキシコのトリオ・ロス・パンチョス。小気味よいレキントギターと美しいハーモニーが奏でるラテンワールドはもちろん昭和30年代の日本にも。
アイ・ジョージや坂本スミ子、ザ・ピーナッツなどがカヴァーしておりました。演奏ならば見砂直照と東京キューバン・ボーイズとか、原信夫とシャープス&フラッツとか。洋楽ならペレス・プラド楽団とか、ジャズならアート・ペッパーでよく聴きました。

ザーズはそれを女歌にして、あふれるばかりの情熱で熱唱しております。母親がスペイン語の教師らしく、彼女の歌にもたしかにラテンの血を感じてしまいます。


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