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ああ、あれは春だったんだね [spring]

たんぽぽ⑥-2.jpg

桜が満開です。

いつも通る公園でも見事な桜をまとった木々の数々。まさに桜最盛の春。

人もかなり出ておりました。みなさんいい顔しております(マスク越しですが)。
花々にスマホを近づける人も。女性が多いようです。学生さんも年配の方も。

去年の今どきのことは忘却の彼方ですが、コロナであっても薄曇りであっても桜は心をなごませてくれます。歩くのが少しも苦でない。むしろ桜を求めてもっと歩きたい。

いつもスマホでうつむき加減の方々も、さすがに上を向いて歩いております。
そんな方々に背いて足元に視線を落としますと、タンポポが。

タンポポは見たとおりのキク科の草花で、桜とともに春を告げる花でもあります。
子どものころの思い出は、あの花びらではなく散った後の種子。つまりあの丸井綿毛。あれを吹いて飛ばして遊んでおりました。耳に入ると聴こえなくなるなんていわれてね。ああ、あれは春だったんだね。

そもそもタンポポは大昔より日本に自生する花ということですが、たとえば時代物の小説を読んでも、映画を見てもお目にかかった記憶がありません。
昔はとるに足らない野辺の花で、記す価値もなし、と相手にされなかった名無し草だったのでしょうか。それとも、いまほど「どこでもタンポポ」状態ではなかったのかも。

流行歌に「花」は欠かせません。
それは今も昔も。多くの歌が抒情を装うために「花」をつかってきました。

歌の中の花といえばなんといっても桜。
続いて情熱的な薔薇、清楚な百合、明朗健康な向日葵、霊験悲愴な彼岸花などなど。

タンポポもたまに聴きますが、向日葵同様、戦前の流行歌ではまず出てこない。
戦前の花で頻度が高いのが「愛国の花」で女性を象徴している桜、梅、椿、菊。
ほかでは芥子、月見草、藤、菖蒲、薊などなど。

タンポポで唯一聴いたことがあるのが昭和18年に楠繁夫と菊池章子がうたった「戦ひの街に春が来る」。杏と共にたんぽぽが出てきます。

https://youtu.be/13IzFrKU2t4

まるで戦争が終って平和が訪れたような詞は西條八十。曲は古賀政男。
このあと地獄の戦いが始まるとは思えない暢気な歌。よく検閲に引っかからなかったなと思うほど不思議な歌です。

戦後になってタンポポがでてくるのは33年のこの歌。

https://youtu.be/ALtH-dj73t0

映画にもなった江戸の市井物で、映画は観ていませんが、YOU-TUBEでは確かに出てきます。ということはやっぱり江戸時代でも野辺の花として存在していたのか。それともひばりの時代劇にありがちな時代考証無視?。

ただ記憶にあるのはこんなもので、30年代の歌謡曲黄金時代でもまず聴かない。

ときどき聴こえてくるようになるのは西暦でいうと1970年代。昭和でいうなら40年代中盤あたりから。

「たんぽぽ」というタイトルでは昭和46年にGARO、50年に太田裕美、51年に芹洋子がうたった楽曲があります。

https://youtu.be/UJzXBYLPCFY

しかしこの年代の「タンポポ」といえば、やはり松任谷由実の「ダンディライオン 遅咲きのたんぽぽ」。

https://youtu.be/DnSz1YQcPMA

昭和58年のシングル。かつて傷ついた女の子のセカンドラブ。少し不安だけど彼を愛する控えめな幸福感をうたった名曲。
ちなみに、ローリング・ストーンズの「ダンディライオン」は1967年で、「この世界に愛を」のB面。♪タンポポは嘘つかない、だれをも賢くする……タンポポのタネを飛ばして遊ぼう なんていうサイケな歌でした。

https://youtu.be/IxOpl37tysw

なんでタンポポがライオンなのか。無知なわたしは、タンポポの花びらを雄ライオンのたてがみに例えたのだろうと軽思しておりましたが、どうやら違うようです。

桜満開の春三月ですが、今年のたんぽぽはちょっと違うような。だいたいたんぽぽはポツンポツンと咲く孤独な花で、複数でもせいぜい2輪の夫婦タンポポか、3、4輪の家族タンポポとうのが毎年のこと、それが今年は群生がみられます。
まさかコロナのせいでもないでしょが、不思議な春です。

最後にタンポポが歌詞に出てくる今の時期にふさわしい? 好きな歌を。

https://youtu.be/i57Qc8ufV18

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10755 [spring]

枝垂桜.jpg


知り合いとの約束があったため、まず千駄木で使用を済ませ、歩いて根津へ。地下鉄の根津駅前でおち合い、近くの中華料理店で黙食。

いつも多忙な知人ですが、今日は夕方まで時間があるというので、食後、急遽桜を見に行こうということになり、谷中の墓地へ。

上着を脱ぎたい陽気だったので、谷中には同様の期待をもった方々なのか、パラパラと人出が。ところが墓地のメインストリートの桜はさっぱり。東京の開花宣言は出ているはずですが、谷中ではほとんど蕾。たまにみつける花びらは、まるで四つ葉のクローバーを探す感覚。

わき道にそれて墓地を散策しましたが、点在する桜もまだ休眠中。
しかたなく、千駄木へ向かうことに。
と、その途中にあったお寺の境内にみごとな枝垂桜が。
「近くへ行こう」と知人と共に境内に入り、桜のそばへ。当然、外国人を含め数人の花見客とおぼしき人たちがスマホをかざしておりました。

これで今年の「花見」は無事終わりました。
ちなみにその枝垂桜のみごとな御寺は「長明寺」といって枝垂桜の名所だそうです。

桜の歌。

詳しくは知りませんが、JPOPSには「さくら」の歌はずいぶんあるようで、まさに百花繚乱らしいのですが、昭和30年代、40年代のわが歌謡曲やアーリーポップスでは、ありそうでなさそうで。

すぐに思い浮かぶのは昭和48年の「桜三月散歩道」(井上陽水)。
歌詞の中ではさいごに♪狂った桜が散るのは三月 と出てきます。

あとはすこし後になりますが平成6年の「夜桜お七」(坂本冬美)。作曲は三木たかしで、作詞は歌人の林あまり。

戦前には「同期の桜」なんて勇ましい歌もありましたが、これは予科練に学ぶ兵隊予備軍を散華の美として桜にたとえたもの。いわば擬人化された桜。

当時?の歌は「桜」や「さくら」をタイトルにしたものがほんとに少ない。日本人としてあまりにもあたり前すぎるのか、戦後なんらかの桜を避ける意識があったのか、よくわかりませんが、JPOPの満開模様と比べるとほんとに寂しいかぎり。

しかし、「桜」が歌詞に出てくる歌は、そこそこあります。

昭和22年、戦後を象徴する歌のひとつだったこの歌からはじまります。

https://youtu.be/M2yQKUGpL20

終戦間のないということもあり、どこかノスタルジックでブルーな歌ですが、電灯に映える公園の桜がなんともささやかな希望の象徴のように感じられます。桜が一輪咲き始め、満開になり、散り落ちてやがて葉桜になるまでを、恋が思い出にかわるまでに喩えてうたっております。平野愛子の名曲です。作詞作曲は東辰三。

その2年後の「青い山脈」にも、♪雪割り桜 が出てきます。
ほかでは27年の「伊豆の佐太郎」(高田浩吉)に♪はいた草鞋に 散る桜
32年の「東京だよおっ母さん」にも♪桜の下で さぞかし待つだろ
などがありますし、
さらには石原裕次郎の晩年の名曲「わが人生に悔いなし」にも。詞は先日亡くなったなかにし礼。作曲の加藤登紀子の歌で。

https://youtu.be/HZFOKGj-91s

とはいえ、日本人にとって「桜の歌」の最大公約数といえば童謡・唱歌でP.D.の「さくらさくら」ではないでしょうか。
といいながら、おのれの義務教育時代、うたった記憶がほぼないのですが。
しかし、昭和30年代、トリオ・ロス・パンチョスがラテンにアレンジした「さくら さくら」はわが脳内ジュークボックスにおさめられております。

https://youtu.be/IIGf797ya9w

長明寺の枝垂桜は、青空に映えてささやかながら感動がありました。
しかし、それより感動したことが。
結局、その後「夕焼けだんだん」から谷中銀座、よみせ通りを通って地下鉄千駄木駅で知人と別れ、わたしは地下鉄へ。

そして下車し、駅を出て家路の公園で家人に電話をしようとバッグからスマホを取出し画面をみてびっくり、さらに今日2度目のささやかな感動。
歩数計がなんと10755歩になっていたのです。
1万歩以上歩いたなんて、ここ数年記憶にありません。
5000歩あるけば「合格点」と思っていましたので。

ただ、「10755」という数字を見たあと、浮かれる気持ちとは裏腹に足の太ももあたりがずっしりと重たくなり、ときどきよろけながら家路へ。

歳そうおうに歩かなくてはいけない、なんて想いながら今夜は桜風吹の夢でも見ながら安眠したいものです。

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春はしのび寄りぬ [spring]

昨日は絵にかいたような桜の花風吹、きょうはそれで散り残った桜を背景に雪女でも出てきそうな吹雪。

70年近く生きてきて、こんな景色を見たことがあっただろうか。記憶にはない。

とにかく昨日も今日も午前中に自宅から歩いて10分ほどの仕事場へ。今日は、クルマはそこそこ走っていたけど、雪の影響もあってか人通りはほとんどなかった。すれ違ったのはフード付きのコートをかぶって自転車を漕ぐ男ひとり。荷台には、ビニールに巻かれたトレペ(トレーシングペーパーじゃないよ)が一束。
気持ちはわかります。

なぜか仕事がはかどらず、午後2時過ぎに切り上げ。
外へ出ると雪から変わった雨もほとんど止んでいた。

夕方テレビのニュースを見ていたら、女子高生がコロナウイルスのことを「コロナッチ」と呼んでいるとか。思わずキャスターも笑っていた。気持ちはわかる。でもそのことが若者のコロナへの意識を象徴している。まぁ、一部でしょうが。

ほかのニュースでは、友だちと遊びに行く予定だった女子高生が姉からラインで、祖父母にうつしたらどうするのと注意されて、外出を思いとどまったという話も。

そんなこと想像力でわかりそうなものだが、誰かに言われなくてはわからないらしい。彼女のお姉さんはそうした想像力というか、常識があったのでしょう。

きょうの仕事中、いつもどおりカセットデッキに適当に選んだテープをセット。流れてきた音は両面ともロシア民謡でした。

そんななかで耳に残った(好きな)曲はこれです。テープは赤軍合唱団でしたが、久しぶりにダークダックスで聴いてみよう。

https://youtu.be/yQ_EIM4dxK8

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