Don't know much about history [カントリー]
https://youtu.be/f4k1gg8nJnI
「僕は丘の上で一人の少女と出会い、孤独な心がふるえた」といううたい出しではじまるカントリーソング「青い鳥が鳴いていた」I heard the bluebirds sing が生まれたのは1952年というから、それほど古い歌ではないとも。とはいっても70年以上経つのだからかなり古いといえばいえるかも。
1952年といえば、たとえば、ハンク・ウィリアムズが「ユア・チーティン・ハート」や「コウライジャ」をレコーディングしているし、なによりも彼が死んだのがこの年の大晦日だった。
日本でいえば、NHKラジオで「君の名は」の放送がはじまり、ボクシング、フライ級の白井義男が日本人で初めて世界チャンピオンになり、流行歌では美空ひばりの「りんご追分」や江利チエミの「テネシー・ワルツ」が巷に流れていたのが昭和27年すなわち1952年ということに。
カントリーソングといっても実はこの歌をつくったのはホッド・ファリスというカナダ人で、初めてレコーディングしたのもハロルド・ブローと妻のベティ・コディが中心の「ローン・パインと彼のマウンテナーズ」というカナダのカントリーバンド。
現地ではそこそこヒットしたようだが、アメリカで広くしられるようになったのは、それから5年後の1957年、「谷間に三つの鐘が鳴る」Three bellsで知られるブラウンズがヒットさせたことによって。その後、ジム&ジェシーやマーティ・ロビンズがヒットさせている。また最近(でもないか)では1973年にクリス・クリストファーソンと当時の妻、リタ・クーリッジがうたい、デュエットによるハッピーソングの定番となっている。
ちなみに冒頭の動画は、クリスが主演した1980年の映画「天国の門」(マイケル・チミノ監督)の一場面で歌とは関係がない。
というわけで、ときどきこの歌が聴きたくなって、ネットへもぐりこんでいるのですが、たまには「新しい人」を聴きたくなり、さらに波乗りを続けることになるわけです。
まったく初耳のバンドや素人のバンドなどを聴いてまわるわけですが、これで素人かとおもうほど完成されているバンドがあったり、なかなか楽しめます。そんななかで今回気になったのがこのバンド。
https://youtu.be/O4aaXUIZzxY
ブランデンバーガー(ベルガー)・ファミリーBrandenberger Family というのでしょうか、フィドル、フラットマンドリン、ギター、ベース、ドブローと、いかにもプリミティヴなアメリカのファミリーバンド。演奏もレベルが高く、ヴォーカルも素朴でオールドカントリーにはもってこい。
音楽もそうですが気になったのがビジュアル。とりわけ女性の帽子。一見してアーミッシュを連想してしまいました。気になったのでどういうバンドなのか調べてみましたが、よくわからない。実体を詳らかにしないというスタンスらしい。
わかったのはビクターとアンジェラという夫婦を中心としたバンドで、アーミッシュを破門されたのだとか。「破門」というのはさらに気になる。そもそもアーミッシュはゴスペルであってもあまり音楽に興じないという話も聞いたことがあるので、まさか破門の原因が音楽だったりして? よくわかりませんが。
また、女性は3人いてだれがアンジェラなのかわからない。あとのふたりは夫妻の娘なのか(年齢差はあまりないよう)、はたまた親類なのか友人なのか。そもそも夫妻はいなくて子供たちで構成されているのか。とにかくミステリアスなバンドで、まさにアーミッシュそのもの。
ゴスペル中心の彼らの歌をもう何曲か聴いてみました。
まずはキープ・オン・ザ・サニー・サイド[Keep on the sunny side]。
https://youtu.be/_QFbVNaSijs
暗雲がたちこめ嵐が来ようとも、やがて太陽がさす時がくる。われわれは神を信じ、いつも陽のあたる場所を求めて生きよう、というカーター・ファミリーで知られるゴスペルソング。日本でも高石ともや&カチューシャ・セブンが「陽気に行こう」という邦題でレコーディングしているので、フォーク・ファンなら知っているかも。
つぎは「いつくしみ深き」What a friend we have in Jesus 。
https://youtu.be/SlybtVZk2RQ
19世紀後半、チャールズ・コンバーズによってつくられた讃美歌で、日本では唱歌の「星の界」(ほしのよ)として知られている。
♪月なきみそらに かがやく光
といううたいだしで、たしか中学生で習いました。現在はどうなのでしょうか。学校で習う歌もけっこう様変わりしているようですから。訳詞も美しい言葉で綴られていますが当時はよくわからなかった。それでも格調高い言葉だということだけは理解していました。
最後はこれもときどき聴きたくなる歌。
https://youtu.be/i7SiAEZcDv4
[The great speckled bird](大きなまだらの鳥)は鳥を神の使者にたとえたゴスペルで50年代にロイ・エイカフがうたった。メロディーはトラッドで、古くはカーター・ファミリーが[I'm thinking tonight of my blue eyes]としてうたい、その後ロレッタ・リンの「ホンキー・トンク・エンジェル」It was't God who made honky tonk angel やハンク・トンプソンの「ワイルド・サイド・ライフ」The wild side of life としてカントリーチャートを賑わしたオールドタイム・ミュージック。
とりわけ「ホンキー・トンク・エンジェル」は女性カントリーシンガーならほぼ誰もがうたいたくなる歌。日本でいえば演歌歌手がうたう美空ひばりの「リンゴ追分」のような。
おまけはサム・クックのティネイジ・ソングを。
「歴史や化学はさっぱりで、成績はぱっとしないけど、君が僕を愛してくれたらこの世界は最高なんだ」というハイスクール生活をうたった1960年のヒット曲「ワンダフル・ワールド」。実はこの歌、80年代のある映画のワンシーンで流れていました。もちろんサムは生存していませんから、ラジオから流れてくるという設定で。
今回のブランデンバーガー・ファミリーを聴いていてふとその映画を思い出したということです。
https://youtu.be/jPCPdhM0bTs
日本シリーズもスゴイ! [カントリー]
メジャーも面白かったけど、日本シリーズもスゴイ。
さきほど第一戦を見終わりました。
とにかく奥川vs山本の投げ合いはみたかったので、テレビの前にノートパソコンを持ちしての「ながら観戦」。
ところが村上がセンタオーバーでぶち込んだあたりからテレビにくぎ付け。
9回、3-1でヤクルトリードでクローザーにマクガフがでてきたところで、「ほぼいけるな」(申し遅れましたがヤクルトを応援しております。というより今、日本で最高のスラッガーだと思っている山田哲人のファンなので)と思いました。
が、結果は悪夢の10数分。あっという間の満塁に、あっという間に宗のクリーンヒットで同点に、最後はあっという間にオリックスのマッチョ・吉田にセンターを越されて絵に描いたようなサヨナラゲーム。
しかしいい試合だった。両エースがふさわしい投球をして、主軸がしっかり打って。最後はホームかアウェイかの差でしょうか。9回、サード村上の落球もしょうがない、送球がストライクではなかったから。
いつものようにグッドミュージックを。野球とは関係なく。
https://youtu.be/9byokSIdJWI
昨日に続いて? アイリッシュミュージックを。いまだ引っ張られております。
アイリッシュのダニエル・オドネルもYou raise me up をヒットさせております。
ダニエルはアイルランドのポップシンガーですが、カントリーミュージックもよくうたっております。
そこでダニエルのうたうカントリーを何曲か。
ダニエルのステージでは、しばしば「歌うパートナー」のメアリー・ダフとのデュエットが聴けます。そんな二人の歌もまじえて。
まずはダニエルが歌うブルーグラスを。
https://youtu.be/qU0yHKuYia0
ビル・モンローとブルーグラス・ボーイズで知られた「丘の上の寂しき我が家」Little Cabin Home On The Hillを。
はやい話が、彼女に逃げられた男が貧しくも二人の愛の巣だった丘の上の家で、窓うつ雨音を聞きながら彼女への未練をタラタラと、という歌。
ハンク・ウィリアムスのMansion On The Hill は谷間の苫屋に住む失恋男が丘の上の邸宅に嫁いだ元カノに恨み言を並べるという歌でしたが、谷間であろうと丘の上であろうと男は常に恋人に逃げられるようになっているようです。
2曲目はメアリーとのデュオ。
以前もこの二人でドリー・パートンとポーター・ワゴナーの「父は昔伝道師だった」daddy was an old time preacher man を聞きましたが、今回もドリー&ポーターでヒットした 「メイキング・プラン」Making Planes を。
これも失恋ソングで、明日家を出ていく(何があったかはわかりませんが)恋人に対してあなたがいなくてもやっていける準備を、思いっきり泣く準備を、そして失恋の日々を過ごす準備をしておかなきゃ……、というすこぶる健気な歌です。
https://youtu.be/4i3hRjqHwIg
最後もデュオで。
ハートブレイク・ソングが続いたので最後はハッピーソングを。
初めて少女の君を見たときも、ふたりが教会で結ばれたときも、そして幸福で充たされた今もあの青い鳥の囀りが聞こえていたね。という本物の青い鳥をみつけたチルチルとミチルの歌? 「青い鳥の歌が聞こえる」I Heard The Bluebirds Sing を。
1950年代のカントリークラシックで、トム&ジェシーやブラウンズ、あるいはクリス・クリストファーソン&リタ・クーリッジでしられています。
https://youtu.be/5CUNF8MaE8E?si=NKyUZB6genzVdsYy
この初戦の素晴らしいゲームで今年の遅い日本シリーズは盛り上がるにちがいない。明日も見るぞ。負けるなヤクルト、負けるな高津、負けるな山田、めげるな村上。
チャーリーのプライド [カントリー]
https://youtu.be/2q3zf1yXA98
チャーリー・プライドが亡くなりました。
保守的なカントリーではめずらしい黒人のシンガーで、70年代を中心に数々のヒット曲でファンを楽しませました。
元ベースボールの選手で、メジャーでいえばジャッキー・ロビンソンのような存在でしょうか。ただカントリーとメジャーとの違いは、ロビンソンのあとメイズやアーロンなど多くの黒人選手がその後に続いたのに対し、チャーリーに続く黒人のカントリーシンガーのビッグネームがいないということでしょうか。
スピリチュアルやブルーズの影響は受けても、黒人シンガーは歓迎されないのがカントリーなのかな。
不思議に思っていたことは、ジャケットでも画像でもチャーリーがカウボーイハットを被ったところを見たことがないこと。自分で嫌だったのか、周囲が被らせなかったのか。まぁ、被らないのがカッコイイという時代もありましたが。
陸上競技であれほど黒人が活躍するのに水泳の競泳などでほとんど黒人のトップスイマーが出てこないのも不思議です。話がそれました。
https://youtu.be/HKmMovZ52MY
彼の最大のヒット曲といわれるのが1971年にリリースされた[Kiss an Angel good mornin']で、カントリーチャート1位(ほかに30曲あまりあるといわれています)はもちろん、ポップチャートでも30位以内に入ったとか。
僕がいつも幸せでいられるのはなぜかって?それは簡単なことさ。さわやかな朝に天使と仲良くすんること。そして家に帰ったら悪魔のように遠慮なく彼女を愛してあげることさ。
というような「幸福を売る男」のような歌でしょうか?
彼がアフロアメリカンであることを考えると、どこかストレートに聴こえてきませんのですが。
https://youtu.be/Vr00u93QZFo
ビフォア・アイ・メット・ユーBefor I met you
デビュー2枚目のシングルだそうです。
まったくヒットしなかったとか。オリジナルではなく、「レスター&スクラッグス」や「ジョージ・ジョーンズ」、「ポーター&ドリー」でよく知られた歌です。
多分人生で最高といえる女の子たちに出逢ってきたと思っていたけど、それは君に会う前までの話。誰にも束縛されず自由に生きていきたい、と思っていたけど、それは君に会う前までの話。
君に会う前までのことなんて、たいしたことのないことばかり。
と今の彼女を大絶賛するラブソング。でも今だけで、その後その彼女と別れて新たな彼女ができたら、君こそ命、君に会う前の恋なんて……、とかなんとか言うのかも。無粋なことをいってしまいました。
最期は彼が影響を受け、尊敬していたハンク・ウィリアムズの歌を2曲
https://youtu.be/u_2sqBL9DRc
コウライジャKaw-liga
骨董品店の店先に立つ木彫りのインディアン人形・コウライジャに恋をした男をうたったノベルティソング。マイナー調がめずらしく、日本で平尾昌晃がうたった「星は何でも知っている」にその影響が感じられます。
https://youtu.be/Zcy3DnFrWbE
マンション・オン・ザ・ヒルa mansion on the hill
自分を裏切り、金持と結婚して丘の上の邸宅に住む元カノへの恨み節。みすぼらしい自分の家から丘の家を見上げ「あんなところに愛なんてあるものか」と嘆く。ハンク以外では、チャーリーのこの歌がいちばんです。
時にはアンクル・トムでなければならなかったのでは。まるで死ぬまでアウェイで闘いつづけたチャーリーのプライドとは何だったのか知りたいものです。
出でよ、ブラック・カントリーシンガー。
あの娘の腕に、もう一度 [カントリー]
思い出したので、バンジョーのオマケです。
バンジョーは、ブルーグラスだけのものではない。フォーク、デキシーもそうだけど、肝心のカントリーを忘れておりました。
で、とってつけたように我が愛すべきカントリーシンガー3人ににバンジョーの弾きがたりを。
まずはドリー・パートン。
ドリーはカントリーだけではなく、ポップスでもヒット曲がありますし映画にも何本も出演し、マリリン・モンローを吹き飛ばすような、セクシーコメディアンヌを演じてます。なによりもうたうときのベイビーヴォイスとトークのときの愛らしい笑い声が魅力。なんで日本では人気がイマイチなのか不思議。
ソングライターとしても秀逸で、[Coat of many Colors] [Jolene] そして、ホイットニー・ヒューストンのカヴァーで大ヒットした[I will always love you]とセンス抜群。
https://youtu.be/DvJUPyK-Vws
この曲も彼女の作で、子供のころに交流のあった酔いどれ老バンジョー弾き「アップル・ジャック」との思い出をうたっています。エミルー・ハリスとリンダ・ロンスタッドを両脇に添えて、貫禄のホンキートンク・エンジェルです。アルバム[TRIO]の三嬢。
ふたりめはグレン・キャンベル。
カントリーに目覚めたころ、小遣いをため、質屋で安いガットギター(フォークギターはちょっと高くて買えなかった)で、よく練習したのがグレン・キャンベルの[Gentle on My Mind]でした。カントリーですが、ポップスとしてヒットした名曲です。
https://youtu.be/3ho9GTYd7nA
グレンはバンジョーだけでなくギターも一流で、ソロシンガーになる前はシナトラやエルヴィスのスタジオミュージシャンとして腕をふるい、ビーチボーイズのバックバンドの一員としてツアーに同行したりと、そのスキルは折り紙付き。
そして最後がその「ジェントル・オン・マイ・マインド」をつくったジョン・ハートフォーオド。日本ではほぼ知らていませんが、アメリカでは著名なバンジョー弾きです。残念ながらもう亡くなってしまいましたが。
最後は、そのジョンとオールスター・ブルーグラッサーで「転がり込むんだあの娘の腕に」をもう一度。
https://youtu.be/iy_CZDtIuz0