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花ふぶき舞う道を [on the park]

エロス+虐殺02.jpg


午前中のどんより雲った公園では、昨日ほどではなかったけど、少なからず人出がありました。
昨日はすごかった。一昨年の花見と変らない、いや昨年できなかった分上乗せで、あちこちで宴が行われていました。ただ多人数でという光景は見られませんでした。

昼前から雨が降り始め、午後になり風も強くなっているそうです。
もし夜も嵐がおさまらないのなら、公園で灯りのなかを降りそそぐ雨と桜吹雪を見てみたという思いもありましたが、残念ながら気力体力とももはや……。

桜は黙っていても美しいですが、散ってゆく姿に見とれてしまう人も多いのでは。
はらはらと散り始める花びらをつい目で追ってしまいます。春の嵐のなかをまさに雪のように降り注ぐ桜吹雪も壮観ですが、散り始めや散り終り数枚、数十枚の花びらの舞う光景もとても風情があります。

桜の歌が多いということは、その散る様子をうたった歌も多いのではないでしょうか。残念ながらJPOPにはほぼ無知なので、相変わらずの古い歌のなかから散る桜、とくに激しく散る「桜吹雪」の歌を聴いてみました。

1970年代はじめ、政治の季節が終ろうとしていた頃、生かじりのヒッピー文化が仇花のように一瞬花開いたとき、懐古趣味にあふれたこの歌が聴こえてきたのでした。

https://youtu.be/dKBFWMQHR58

古くて新しかった。
ジンタのリズムや昭和ロマンをつめこんだ歌詞。それにミスマッチがなんとも新しかったジーパン(デニム)に下駄。
あがた森魚が林静一の描いた劇画「赤色エレジー」を昭和ロマンに脚色しました。
いちおうフォークソングにジャンル分けされておりました。

当時フォークといえば「神田川」や「結婚しようよ」「傘がない」など自分たちの生活に根差した、小さな出来事や思いをうたったいわゆる「四畳半フォーク」と呼ばれるスタイルが主流でしたが、この歌はそれをロマンチシズムに昇華させていました。

また、わたしの不完全な記憶では日本のフォークにヴァイオリンを使用したのはこのうたが初めてだったのでは。少なくともグレープの「精霊流し」よりは先でした。


1980年代に聴こえていた「花吹雪」はまるで歌舞伎や大衆演劇の小道具さんが天上から降らせる桜吹雪に模した紙吹雪のようにイミテーションであり、ポップであり、抒情というよりはファッションとして、あるいは「ばえ」として使われていました。

https://youtu.be/uZYaK6Tm5Ts

アン・ルイスは1971年に「白い週末」でデビューし、74年の「グッバイ・マイ・ラブ」あたりまでは清純路線でしたが、78年の「女はそれを我慢できない」あたりから豹変というか変身といいますか、自立する、ロックを身にまとった女に成長します。
いまでいうジェンダリズムとかフェミニズムともいえますが、あれから半世紀近く経ちますが、何も変わっていません。て、話が逸れますので軌道修正。


桜吹雪はまた、人生の門出の象徴としても使われます。入学・入社とか、卒業・退職とか。
おそらくJPOPにはありそうですが、わたしは知りません。くどいようですが。

昭和の時代にも、といいたいところですが、実際は平成のはじめ頃に聴こえてきた「桜吹雪」がこの歌です。

https://youtu.be/f7kkQ6vddS8

日本テレビの24時間TVのテーマソングとしてつくられた歌で、谷村新司の抒情的な詞と加山雄三の抑揚のあるメロディーが感動的な楽曲になっています。
タイトルが「サライ」ではなく、もう少しわかりやすかったらもっと普及していたのではないでしょうか。
わたしなど「さらい」と聞いて「さすらい」の「す」を抜いたもの。つまり酢をいれないシャリにネタをのせた鮨かと思いましたから。ウソですが。

新しい世界へ巣立ったり、ひとつの世界をまっとうした、ある種「希望」や「慶び」の象徴としての「桜吹雪」もありますが、その反対に明るいから暗く、愉しいから淋しいという「桜吹雪」もあります。

https://youtu.be/Q3duALFEk10

近年亡くなった森田童子の歌は、春と死をうたったものがいくつもある。
後年テレビドラマに使われて彼女の代表曲となった「ぼくたちの失敗」(石川達三の「僕たちの失敗」からタイトルを拝借したのではないでしょうか)にも、
♪春のこもれ陽の中で きみのやさしさに うもれていたぼくは 弱虫だったんだヨネ

この歌は春を連呼しておりますが、それは春を謳歌するというよりはまるで「なんでそんなに明るいの」「なんでそんなに愉しいの」とまるで春を恨んでいるように聴こえます。

この歌では「桜吹雪」ではなく「花吹雪」とうたわれております。
一般的に「花吹雪」といえば「桜の花」のこと。俳句の季語でもそうです。そもそも俳句では「花」イコール「桜」ですから。

最後にもうひとつ「花吹雪」の歌を。

https://youtu.be/tDIwmhXWa9c

ジャックスの早川義夫が60年代最後につくった歌です。レコードは競作で女性ユニット・もとまろや岩淵りりでヒットしました。
聴けばわかるとおり、ハッピーソングではありません。
元カノの結婚式の日の、未練男の心情をうたっております。映画の「卒業」なんてまずあり得ない世界で、実際はこの「サルビアの花」が現実。当日その場所へ行ってしまうという狂気。いまでいえばストーカー。でも失恋の極地とはそういうものなのでは。

以前からこの歌について不可解に思っていたことが。
サルビアはだいたい夏に咲く花です。桜咲く三月、四月には見たことがありません。ということは、この歌でうたわれている「花吹雪」は桜ではないのでしょうか。
桜以外の花吹雪とは、それも夏に降る花吹雪とはなんの花なのか。
それとも、失恋の春とサルビアの花を捧げたかった夏の日にはタイムラグがあったということなのでしょうか。
名曲であることに変りはありませんが。

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