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嫁に行くよな娘じゃないが [歌謡曲]

おけさ唄えば.jpg

御三家最後は最年長でもちろんデビューも昭和35年ともっとも早い橋幸夫。すでに来年5月80歳になると同時に引退すると表明しております。そうですね、まぁ納得のいく決断でしょう。フェイドアウトしていく方もいますし、それはそれでよいと思いますが、引退宣言といいますか、引退予告というのも江戸っ子らしい。

ところで橋幸夫の代表曲といったら何でしょうか。
そのデビュー曲の「潮来笠」。ほかでは吉永小百合のデュエットでレコード大賞を獲った「いつでも夢を」。同じくレコ大受賞の「霧氷」……。
ほかでは作詞の佐伯孝夫が実話をもとにつくったという「江梨子」とか、リズム歌謡の一発目の「あの娘と僕」なんかでしょうか。

橋幸夫が他の二人と異なるところは、いわゆる「和もの」が多いということ。以前は「日本調歌謡曲」なんていってました。
とくに橋幸夫の場合は、デビュー曲の「潮来笠」に象徴されるような映画でいうところの「股旅もの」。江戸時代のやくざ者とかながれ者ですね。だから着物姿も多かった。

舟木一夫にも多くはありませんが、かの「銭形平次」があったし、赤穂浪士の若者をうたった「右衛門七討入り」とか「火消若衆」とか「一心太助江戸っ子祭」などありますが、ヒットしたのはテレビドラマでリピートされた「銭形平次」くらい。
西郷輝彦にいたっては、テレビの時代劇ドラマの主題歌があったような気がしますが、ほとんど聞きません。

特筆したいのは橋幸夫の数多ある「股旅もの」、たとえば「沓掛時次郎」「関の弥太っぺ」「南海の美少年」「磯ぶし源太」など、そのほとんどが吉田正、佐伯孝夫の作曲、作詞コンビ。
吉田・佐伯コンビといえば「哀愁の街に霧が降る」「東京の人」から「有楽町で逢いましょう」「東京ナイト・クラブ」「再会」など、いわゆるムード歌謡の達人たち。それが和ものというか、股旅ものもテリトリーとしていたというのがスゴイ。

わたしの記憶に残っていて、ときおり自動再生されるのは歌そのものは「和もの」ではないのですが、メディアミックスで同名映画の主題歌としてつかわれ、その映画というのが大映の股旅ものというアナクロぶりの「おけさ唄えば」。
映画は観ていませんが、主演が大映の看板・市川雷蔵。橋幸夫も出演していたようです。
動画はその映画のワンシーンで、若き日の橋幸夫登場で、ファンには堪らない。いや時代劇ファンや雷蔵ファンにも堪らない。ちょっと長いですが、歌だけなら8分あたりから。

https://youtu.be/Y_1JjKqzW98

歌の内容は、佐渡から東京へ出てきた男が故郷にいる恋人に想いを募らすという、やはり当時歌謡曲の主流だった「故郷歌謡」。

この歌の思い出は残念ながら発売当時、つまり青春歌謡全盛時の昭和30年代後半ではなく、それから10年あまり経過した昭和40年代。社会人になって間もない頃。

東京郊外の工業団地で働いていた頃の話です。気の合う先輩がいまして。部署は違ったのですが、最寄駅からの送迎バスで隣り合わせになったことから話をするようになり、しばしば酒に誘ってもらうようになりました。
大きなからだで、眼鏡をかけた細い目がいかにもやさしそうで。そんな警戒心をいだかせない風貌に魅かれるものがありました。仕事のほうはバリバリこなすというタイプではなく、しばしば上司や同僚から注意される光景を見かけたこともありました。やっぱりお互いに歌が好き、というところが共通点だったのかもしれません。

そんな先輩に誘われてスナック通いをしていたのは、ちょうどカラオケが出回り始めた頃。、といってもカラオケボックスなどはなく、バーやスナックに設置されたカラオケマシーンが全盛でした。選曲は専用の歌詞集があって、リクエストするとママさんや女の子が8トラックとよばれたカセットテープを挿入するというもの。で、ミュージックが流れると、客はそのマシーンに繋がったマイク片手に鼻声を披露するわけです。

先輩、スナックでは水を得た魚。
よくうたっていたのが鶴田浩二とか神戸一郎とか。そして締めにうたったのがこの「おけさ唄えば」。
橋幸夫のこの歌は知っていましたが意識しはじめたのは先輩のカラオケショーで。聴けば聴くほど「いい歌だなぁ」と思うようになって、やがてわたしの脳内名曲アーカイブスに。
先輩のうたも上手だったなぁ。こちらは鼻声ではなく、美声で。
遠距離恋愛の歌詞もいいですが、演奏の「おけさ節」の浮かれ囃がなんとも哀愁を含んだ賑やかさで。嫌なことでも忘れさせてくれるチャンチキ囃。先輩にとってもそんな歌だったのかもしれません。

当時、一年ごとに職場を変わるという渡り鳥のような生活をしていたわたしは、「予定通り」その会社を短期退職し、先輩ともそのままになってしまいました。
短期間ではありましたが、その先輩とは歌にまつわる別の思い出もありますが、それはいつかまた披露できることがあれば。

もい一曲といいますか、今回は二曲を。
橋幸夫でも「チェッ、チェッ、チェッ」とか「恋のメキシカン・ロック」とか「若いやつ」など聴きたい曲はたくさんありますが、大好きな「チャンチキ囃」が聞こえてくる他の歌手の歌を。
まずは元祖チャンチキ節。やはり佐渡から都会へ出て来た男の歌。こちらも遠い故郷の彼女の顔も浮かびますが、都会へ出てきたものの一向に芽が出ない己を嘆き、酒で紛らすというある意味やけ酒ブルーズ。

https://youtu.be/K8vURIZ8Myk

もう一曲は、昭和の歌姫のチャンチキ節で、はじめに述べたような「和もの」。
主人公はこれもはっきり言ってはいませんが、どうやら佐渡から江戸へ向かう旅がらすのようです。こちらはチャンチキ囃もそうですがドドンパがいい。

https://youtu.be/B45Ckl7lsaA





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