SSブログ

なんで住めよかあの人が [歌謡曲]

赤と黒のブルース.jpg


石原慎太郎には「スパルタ教育」や「NOと言える日本」など小説以外のベストセラーもあります。
ほかにも回想録のような本も何冊かあり、そんななかの「わが人生の時の人々」という本から。これは2002年に書かれた本で、彼が作家になる前後から関わってきた作家仲間から政治家、プロスポーツ選手、芸能人たちの印象をエピソードを交えてつづったものです。そのなかに音楽、とりわけ流行歌や歌手にまつわる話がありますので、その何曲かを聴いてみたいと思います。

かなりボリュームのある本ですが、そのなかの一章を彼の「ナイトライフ」について書いております。昭和三十年代のナイトライフ、主にナイトクラブでの経験ですが、とても興味があります。
慎太郎氏をナイトクラブへ導いたのはなんと弟の裕次郎。それも兄が大学生、弟が高校生というのですから驚き。テリトリーは居住の横浜か東京だったとか。
銀座の銀巴里(シャンソン喫茶として定着する前はナイトクラブだったのでしょうか)で、「見てくれに比べてなんと味のある歌い手だろう」と目にとまったのが、のちに「有楽町で逢いましょう」をヒットさせるフランク永井。
また、新宿のキャロットでクラリネット&ヴォーカルのレイモンド・コンデとデュエットしていた美人で歌唱力ばつくんのシンガーが、のちの松尾和子だったと。

はたして二人が何の歌をうたっていたのかは書いてありませんが、松尾和子はクラブシンガー時代十八番だったのがシャンソンの「メランコリー」なので、のちにふれる慎太郎の好きなこの曲も聴いていたかも。

曲名がわかりませんので勝手に選んでみました。フランク永井と松尾和子といえば。

https://youtu.be/6frvw2GJ-3g

「夏の終り」を一緒にレコーディングしたペギー葉山とはその以前からふたりで食事をするような仲だったとか。といってもラブアフェアーではなく、ペギーのボーイフレンドだったヴィブラホン奏者で作曲家の平岡精二の紹介で知り合ったと。
平岡精二とは慎太郎が政治家になってからも付き合いが続き、彼のことを天下国家を論じる大タカ派だった、と書いております。
平岡・ペギーの歌では「あいつ」「爪」「学生時代」が挙げられていますが、知りあいの大手出版社社長が涙を浮かべて愛唱していたというジャジーなこの曲を2曲目に。

https://youtu.be/eooHw71g2S0


3曲目は越路吹雪の「メランコリー」。

https://youtu.be/PDuWj1SSmoA

代表曲に「パリのお嬢さん」がある美人シャンソンシンガー、ジャクリーヌ・フランソワの50年代の楽曲。本場フランスではさほどヒットしていませんが、日本ではよくカヴァーされています。その代表が越路吹雪。ほかでは松尾和子や大木康子など。
よほど越路吹雪とこの歌が好きだったようで、歌詞の一節をまるまる引用しています。慎太郎が山田五十鈴や高峰三枝子のファンだったことはしっていましたが、越路吹雪のことはこの本を読んで初めて知りました。意外でした。

ほかに越路吹雪については別章にエピソードがあって、それがおもしろかった。
それは越路吹雪が知りあいを招待してプライベートコンサートを開いたときのこと。
彼女は石原慎太郎を含め招待客に対して、盛り上げるためにできるならタキシードを着て来てほしいと頼んだとか。
慎太郎氏は用事でどうしても着替えに帰る時間がなく、気になってはいたがタークスーツでかけつけたところ、誰もタキシードを着ていない。そこで先に来ていた招待客に、誰も着てこないと越路さんが気をわるくするのではないか、と訊いたところ「なぁにその内、誰か馬鹿が着て来るよ」との返事。その途端、「今晩わ」と入ってきたのがタキシードを着た三島由紀夫だった、そうである。
先輩の三島由紀夫についてはその出会いから死までかなりのスペースをさいて書いていますが、どこか彼をドン・キホーテ視しているような印象がある。


最後はそうした彼の「わが青春のナイトライフ」を象徴する歌としてあげている鶴田浩二の「赤と黒のブルース」。動画がよろしくないので音だけでも。

https://youtu.be/bZvU_GP80DU

鶴田浩二との接点は書かれていないようですが、この歌について、
「なんとなくデカダンな鶴田浩二の甘くニヒルな声も合っていたが…(中略)…なんともあの頃の夜の雰囲気を伝えてくれていて、今でもこの歌を聞いたり歌ったりするとひしとした実感がある」
と書いています。
曲はビクターの看板だった吉田正。詞は「好きだった」や「街のサンドイッチマン」(どちらも鶴田浩二)がある宮川哲夫。この人も佐伯孝夫に隠れていたがビクターの二番手で、ヒット曲が多く、ほかにも「東京ドドンパ娘」「湖愁」「公園の手品師」「美し十代」「霧氷」などのヒット曲がある。

それにしてもこの「赤と黒のブルース」はどことなく裏社会の匂いがして「夜霧のブルース」とも通ずる。また、西村賢太の「傷だらけの人生」ともどもの鶴田浩二で、石原慎太郎と西村賢太、このミスマッチの共通点は何なのか。
とはいえ名曲です。だからカヴァーが多いんだ。名人がこぞって。でもオリジナルには勝てない。

今回はすべて動画なし。古い歌(とくに日本のは)はだんだん動画が消えていくようです。仕方ないことですが。


オマケはインストのマンボで。
慎太郎は当時流行したマンボが好きで、楽曲がかかると同伴の女性をひっぱってフロアでよく踊ったとか。意外。そのかわりロックやツイストについてはケチョンケチョン。
そんな時代、王様・ペレス・プラドがマンボファンの皇室・清宮のご成婚祝にプレゼントしたという「プリンセス・スガ」を。

https://youtu.be/Nez8KFCXlyE

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。