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クリストファーソン [not mellow AB]

kristofferson.jpg

「ボビー・マギー」は実に多くのシンガーによってカヴァーされています。
でもジャニス以上にジンとくるカヴァーはありません。

いちばんはじめに聴いたバージョンだからということもあるかもしれませんが、たとえ
ば前回ピックアップした「朝日のあたる家」などは、アニマルズよりブラザーズ・フォア、よりプラターズ、よりニーナ・シモンというように後で聴いたバージョンがより「よく」聴こえるという場合もあるので、いちがいにそうともいえません。

ジャニス盤は、もちろん「ボビー・マギー」の産みの親、クリス・クリストファーソン以上でもありました。

とはいえ、クリスが卓越したソングライターであることは間違いありません。
「ボビー・マギー」が1970年の彼のデビューアルバム「クリストファーソン」に収録されていたことは前回紹介しました。またそのアルバムが不発だったことも。ただその後、カヴァーされてヒットする曲がいくつか収録されているというスゴイアルバムでもあるのです。
そのいくつかを紹介してみます。

まずは「フォー・ザ・グッド・タイム」。

https://youtu.be/1BW0_D6jJ1g

レイ・プライスによって1970年にカヴァー。
別れていく彼女に、未練を残しながらも、楽しかった日々を思い出に歩いていこうとする男のストーリー。

50年代、「クレイジー・アームス」「シティ・ライツ」「リリース・ミー」などでカントリーチャート、トップに輝いたレイ・プライスの11年ぶりのナンバーワンヒット。ポピュラーチャートでも11位という快挙でした。
その後カントリー・シンガーよりはむしろポップシンガーにカヴァーされました。アンディ・ウィリアムス、ペリー・コモ、フランク・シナトラ、エルヴィス・プレスリー、ディーン・マーチン、アン・マレーなど。

日本では加山雄三が「心の想い出」の邦題で美声を聞かせております。

https://youtu.be/UYhgAJ7YJjY

つぎが、「サンデー・モーニング・カミング・ダウン」。

https://youtu.be/SPiSYVLFCM8

69年にレイ・スティーブンスが初録音(クリスのデビュー盤よりはやい)しましたが、70年に後に親友となるジョニー・キャッシュがカヴァーしてカントリーチャートで1位に輝きます。その後、フランキー・レイン、リン・アンダーソン、ウェイロン・ジェニングス、ウィリー・ネルソンなどのカントリーシンガーが次々にカヴァー。

土曜の夜、タバコの煙とカントリーミュージックの演奏が充満するホンキートンクでさんざ遊んだ男。翌日曜の朝、目覚め、その余韻のなか町を散歩するという物語。
通りで遊ぶ子どもたち。見知らぬ家からただよってくる朝食の匂い。公園で遊ぶ父娘づれ。教会から聞こえる讃美歌と鐘の音。
そんなありふれた日曜の朝、自分だけがなにか取り残されているような……。

よくいわれる「パーティは終わった」という孤独と哀愁が感じられ歌です。

最後の一曲、これは「ボビー・マギー」にも劣らない名曲。ヒットさせたのが女性。「ボビー・マギー」と同じです。

1971年にサミ・スミスが歌ってヒットした「ヘルプ・ミー・メイク・イット・スルー・ザ・ナイト」。

https://youtu.be/jLQAAxcBTQs

邦訳すると「夜を一緒に」というきわどいラヴソング。
カントリーチャートでは1位、ポップチャートでも8位の大ヒットとなりました。

冒頭がクリスのオリジナルでは、
「キミの髪のリボンをはずして…」ですが、
サミの場合は「女歌」なので「(あなたは)わたしの髪のリボンをはずし…」とうたっています。

もちろんあとは同じで、そのサビは、
「もう何も解らないし、解りたくもない」
「明日なんか悪魔にくれてやるわ。だから今夜だけはあなたといたい」
という強烈なラヴソング。これがウケたのでしょう。

クリスの「男歌」では問題ないのですが、サミがうたうことで、「女性が誘っている」「セクシーすぎる」と当時議論になったとか。70年代でもまだそういう時代だったのです。

とにかく詞、旋律とも絶妙のラヴソング。まさに名曲。

名曲の定義は主観的な部分もありますが、客観的な要素としては、どれだけの人が聴いたか(音源を購入したか)ということがあります。売れれば名曲かよ、という反論もありますが。
もうひとつの名曲を測るメジャーとして、どれだけカヴァーされているかということもあります。つまりプロがうたいたくなる歌、これは名曲と考えてもいいのでは。
そういう意味ではこの「ヘルプ・ミー・メイク・イット・スルー・ザ・ナイト」は名曲といえるのです。

女性でいえば、グラディス・ナイト、リアン・ライムス、オリビア・ニュートン・ジョン、ノラ・ジョーンズ、アン・マレー、スキーター・デイヴィスなどが。

https://youtu.be/ocReUIHoI4s

男ならウィリー・ネルソン、レイ・プライス、ウェイロン・ジェニングス、マイケル・ブーブレ、グレン・キャンベル、エルヴィス・プレスリー、エンゲルベルト・フンパーティンク、パーシー・スレッジなどなどがカヴァーしています。

https://youtu.be/OwgFmM0krb8

YOU-TUBEでは韓国のカントリーシンガー? もうたっておりました。

https://youtu.be/Rl0WTlhFZ0Q

イ・ラヒさんというようで、とても上手です。韓国のほうが日本より「カントリーソング」が定着しているのでしょうか。Kポップで全米1位になったユニットもいるようで、ポップスは韓国の方が日本よりもいわゆる「洋楽」を上手に取り入れ、うまくオリジナルとして反映させているような印象もあります。

かつては、日本でもカントリーが若者に支持され(そうになっ)た頃もあったのですが、
いまや日本のカントリー事情は寂しいものです。

と思っていたらYOU-TUBEで日本人カントリーシンガーの「ヘルプ・ミー・メイク・イット・スルー・ザ・ナイト」をみつけました。
それも日本語まじりで。さらにいうならうたっているのは伝説の日本人女性カントリーシンガーです。

https://youtu.be/DhcDnwxy6WQ

ところで、クリス・クリストファーソンですが、前回もふれたように俳優としても知られております。わたしも何度もかれの出演作を見たのですが、だいたいは二枚目として描かれています。「アリスの恋」のときも善良ではあるけど、いわゆる「イケメン」ではないのになんで二枚目なのかと不思議に思ったものです。

もしかするとアメリカ人と日本人の「イケメン」の感じ方が異なるのかもしれません。「美女」に関してはさほど違わないと思うのですが。
個人的にアメリカの「イケメン」といえばグレゴリー・ペックとかゲイリー・クーパー(どちらも古いね)などが思い浮かびますが。それに比べると。

ただクリスにはジェントルとインテリジェンスが感じられますし、体形もスマート。こういうところもアメリカの女性には「イイ男」として評価されるのかもしれません。

脱線しましたので最後はご本人の歌で。

https://youtu.be/5x0b7XOUmH0
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