SSブログ

瞳とじれば夕焼け雲が [on the park]

夕焼け⑦.jpg


きょうもほとんど雲のない快晴でした。
公園のベンチで初老の男が座り、彼に覆いかぶさるように同年代の女性が掌をかざして気を送っておりました。数日前も雨の公園で違う人たちの同じ光景を見たのですが、流行りなのでしょうか。

きょうは、あかね雲に続いて夕焼け雲。

「夕焼け雲」の歌というと、そのストーリーと映像がすぐに思い浮かぶのがNSPの最大のヒット曲。

https://youtu.be/6l6MJpDe5sM

NSPは「ちぎれ雲」のところでふれましたが、この歌を初めて聴いたとき歌詞が「虫にさされるのはいやだけど」とか「そんなにふくれちゃいやだよ」とか「君は笑うのがへたになっちゃったんだね」とか生の口語体がなんとも幼稚に感じたものでした。でも、その後それこそ「雨は似合わない」や「ヒコーキ雲」などを聴いているうちに天野ワールドに堕ち込んでしまいました。

この歌は天野からオリジナルの楽曲を提供されていた石川ひとみやアグネス・チャンがカヴァーしています。

https://youtu.be/9dvQ__BZmZQ

NSPは「フォークソング」にジャンル分けされると思いますが、和製フォークの抬頭期、
「夕焼け雲」をうたったシンガーがいました。

昭和41年(1966)といえば、流行歌の世界ではエポックメーキングな出来事がありました。6月のビートルズの来日。
その数年前から世界のトレンドとなっていたエレキ・ヴォーカル・バンド。その頂点にいたのがビートルズ。

日本でも40年あたりからエレキバンドが誕生しはじめ、この61年にGS(グルーウサウンズ)としてポップス界を席巻します。
ジャッキー吉川とブルーコメッツの「青い瞳」、田辺昭知とスパイダースの「夕陽が泣いている」のビッグヒットを皮切りにGSブームがはじまりました。

その前年、西田佐知子の「女の意地」が夜の街に流れていた頃、そのGSにさきがけてエレキヴォーカルで若者のハートを掴んだのが加山雄三。
その曲が「夜空の星」。不朽の名作「君といつまでも」のB面でした。当時ではめずらしい両面ヒット。

もどりまして41年。
GS大爆発の陰でひそやかに流行していたのがフォークソング。
アメリカのモダンフォークブームに影響された日本のフォーク。それはカレッジフォークと呼ばれました。
「バラが咲いた」のマイク真木、「若者たち」「星に祈りを」のブロード・サイド・フォー、「いつまでもいつまでも」のザ・サベージ、そして「空に星があるように」の荒木一郎。
やがてフォークは「反体制」「四畳半」「抒情」などの冠をいただいてGSを蹴とばして日本のポップスの王道を歩くことになるのですが。

貪欲な加山雄三はそのカレッジフォークも取り入れてしまいます。
それが若大将の夕焼けソング。夕焼け雲をストレートに「紅い雲」とうたっております。ギターのイントロが印象的(イージー)でよく弾いていました。

https://youtu.be/nMhIvGXfKWg

もう一度「夕焼け雲」に戻ります。「旅人よ」の作詞・岩谷時子をもう一曲。

https://youtu.be/4n2vFmF02Rk

昭和39年(1964)、東京五輪の年にリリースされた倍賞千恵子の名曲。
倍賞千恵子といえば「男はつらいよ」の妹・さくら、というのが日本人の印象ですが、元は浅草を舞台とした東の宝塚・SKD(松竹歌劇団)の出身。
それゆえ、演技だけでなく歌も踊りもお手のもの。

スカウトで松竹映画に入り、37年にシングルレコードの「下町の太陽」が大ヒット。翌年松竹で映画化され、これまたヒット。これで彼女はスター街道を歩き始めることになります。

この歌は名コンビ岩谷時子といずみたくによるものです。
このふたりによるヒット曲は39年の夜明けの歌(岸洋子)から、太陽のあいつ(ジャニーズ)、貴様と俺(布施明)、恋の季節(ピンキーとキラーズ)、いいじゃないの幸せならば(佐良直美)など多数。

瞳をとじて浮かぶものは、
1番は片想いの恋人、2番は亡き父親で、結婚の報告、3番は懐かしい故郷と妹たち。
4番では初キスの幸福感
というようにひとりの女性が恋をして嫁いでいくまでの感情の動きと幸福感がうたわれています。

イカしたジャジーな間奏(編曲)は小川寛興。「さよならはダンスの後で」の作曲者でもあります(「月光仮面は誰でしょう」もね)。

一時、倍賞千恵子はいずみたくのミュージカルに出演したようですが、あるときその売れっ子作曲家に新曲を依頼したそうです。そして出来上がったのが「希望」(藤田敏雄作詞)だったとか。
しかしご存知のように45年リリースされた「希望」をうたったのは岸洋子。
倍賞は自著でその理由を「自分の力不足」とだけ書いています。
どんなドラマがあったかは知る由もありませんが、その後彼女はいずみたくの新曲をうたうことはありませんでした。

例によって「おまけ」です。
「瞳とじれば」の3年後に倍賞千恵子がうたった「岩谷・いずみ」コンビの歌を。
NHKドラマ「素顔の青春」の主題歌です。付け加えておきますとこのドラマに彼女は出演していません。

https://youtu.be/QREMwSVIxZY

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。