SSブログ

いわし雲 [on the park]

ウロコ雲①.jpg


きょうはきのうほど晴れわたってはおらず、青空はわずかで雲の多い空模様でした。
それでも重なる雲の一部に秋を感じさせる「鰯(いわし)雲」らしきかたちが見受けられました。

いわし雲はイワシの群れのように見えるからそう命名されたようですが、個人的にはそうは見えない。別名の「ウロコ雲」なら納得できますが。
ほかにも「さば雲」「羊雲」という別称があるようですが、詩ごころがないのか、そうは見えないなぁ。とくにひつじの群れっていわれても、ちょっと……。

それでも呼称としては「いわし雲」がなんとなく耳障りがよく、使われる頻度もたかいのではないでしょうか。
いわし雲をうたった秋の歌もいくつかあるようです。


タイトルがずばり「いわし雲」をうたっているのはNSP。

https://youtu.be/z1xlj_eXrxs

岩手県出身のフォークトリオで、元は「ニュー・サディスティック・ピンク」とフルネームで名乗っておりました。そしてその詞・曲のほとんどは夭折した天野滋によるもの。
最大のヒット曲「夕暮れ時はさみしそう」に代表されるように独特の歌の世界はグレープなどと同様「抒情フォーク」なんて呼ばれていました。

とりわけNSPの歌はその主人公である少年が独特で、のちに言われるようになった「草食系男子」を先取りしていました。

この「いわし雲」は知り合って二度目の秋を迎える彼女との幸福感をうたっているのでしょうが、曲調が陰で、もしかして彼女って別れちゃったの? まさか死んじゃったの? などと思わされてしまいます(抒情フォークってそういう傾向がありますから)。でもいい歌です。


ほかにいわし雲がうたわれているのは、フォークでいえば嫁ぐ娘が戦死した父親に報告をするという、ある意味時代を感じさせる歌「戦争は知らない」。

元は坂本スミ子がうたったようですが、カルメン・マキやフォーク・クルセダースでよく流れていました。本田路津子もいい。すきな声です。詞は寺山修司で「父親殺し」は常套?

https://youtu.be/2HlyZmwWqYQ

歌謡曲では狩人の「アメリカ橋」。

https://youtu.be/y4YkAoYeKP8

♪気圧配置も秋 いわし雲が窓に見えてた
「気圧配置」なんてプロの作詞かではまず出てきにくい言葉をつかったのは元放送作家の奥山侊伸。オリジナルは湖東美歌。

森昌子の「彼岸花」のなかにも
♪鰯雲流れ 夜が来て
とうたわれてます。これも「アメリカ橋」同様、別れた元恋人を偲ぶ「思い出歌」。
作詞は阿久悠。作曲はヒデとロザンナのヒデ。

https://youtu.be/SZRfVcq_lAk

森昌子といえば同期の山口百恵にもあります。
こちらは「羊雲」。

かの有名曲「いい日旅立ち」のなかで、
♪いい日旅立ち 羊雲をさがしに
とうたっています。

https://youtu.be/SgJriXB6-1Y

「いわし雲」ではありませんが、山口百恵では
♪ながれる雲さえ 季節の色だと 「イミテーション・ゴールド」
♪太陽がいま たくさんの雲したがえて 「夢先案内人」
で「雲」が出てきます。

いわし雲といえば思い出すのが映画「鰯雲」。
昭和30年代の成瀬巳喜男作品で、それから10数年のちに銀座にあった並木座で観ました。
当時周囲は小津安二郎を絶賛しておりましたが、20代前半の青年には小津はシブすぎて、同じ小市民映画でもよりエンターテインメント色の濃かった成瀬作品のほうが好きでした。とりわけ「浮雲」はすばらしくあの作品で高峰秀子のファンになりました。
小津も「東京暮色」は好きだった。有馬稲子がきれいだったしね。結局女優かって話ですが、話が長くなりそうなので、映画の話はいずれまた。

上に載せた写真は今日の雲ではなく、以前撮ったものです。
今年も冬になる前に必ず「いわし雲」が見られるはずで、見ることができるのはせいぜいあと10回ぐらいなので、今年もしっかり目で見て楽しみたいと思います。

最後に久しぶりに聴いたNSPの歌が沁みましたのでもう一曲。
「いわし雲」とは関係ありませんが、もうすぐ冬ですので。

https://youtu.be/S20rxkkFxnw

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。